リーダーの傾聴 なぜ、部下の不満に気づけないのか
特定社会保険労務士の濱本先生がご本を出版されたとのことで、さっそく読んでみました。
帯には「超実用的マネジメント」とあります。
会社や組織のリーダーに向けたビジネス書ですが、読んでみた感想は、これは人間関係に共通する重要な教えがたっぷり詰まっていると感じました。
すなわち、人はなぜお互い「自分が正しい」と主張してぶつかるのか、といった人類永遠のテーマともいえる点について、実務経験や心理学の知識知見を交えて深く洞察されているということです。
法令や倫理面だけでは割り切れない人の心のあり様まで深掘りされており、「人間とはなにか」といった哲学さえ感じます。
しかしけして難しくなく、たいへん読みやすい内容でした。
近年話題となっているハラスメント事案についても言及されています。
実例をもとにして、いかにトラブルを拡大させないかといった手法が詳しく述べられています。帯のとおり「超実用的」です。
本書は、夫婦関係にも重なるところがありそうです。夫婦関係をマネジメントするというと、ちょっと大げさで違和感があるという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、リーダーも部下も夫も妻も、みな一人の人間という視点でいえば応用できる部分はともて多いと感じました。
とりわけ、聴くマネジメント(対話を設計する)については、カウンセラーの心得そのものであり、カウンセリング実務上でも大いに役立つ内容でした。
最終章では、労働局の「あっせん」制度が紹介されていました。
一般にはあまり聞きなれない言葉ですね。
詳しくはリンクを貼らせていただきました。
外部リンク
総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
本書では、この制度のメリットである簡易・迅速・廉価だけでなく、「白黒つけない柔軟さ」と「当事者の関係を破壊しない」ことも大きな利点だとしています。
労働問題を放置するとトラブルが長期化して職場の雰囲気は悪くなり、生産性の低下や社員の離職など新たな問題を誘発します。さらに対立が激しくなると負の連鎖が増幅し、もはや修復不能に至るケースも少なくありません。
もし労働トラブルを抱えているなら、早期かつ円満な解決を目指すためにも、あっせん制度を利用してみてはいかがでしょうか。